オーラって、いったい何だ?オーラって、いったい何なんだ?

偉大な人たちを表現する際によく使われる「あの人のオーラ、ハンパない…」とか、「オーラが凄すぎて近寄れない…」とか。
あのオーラっていったい、どないやったら身につくんだ?俺にもオーラが欲しい欲しい、万人に近寄りがたいと思わせるほどのオーラが欲しいと望み続けて、早、三十何某年も経過してしまった。

先日、お仕事でお打ち合わせなどしている際に、某超大物と打ち合わせを続ける若手ディレクターさんと、オーラの話で小盛り上がり。

「その方のオーラ、あまりにも凄すぎて、会議中でも、参加者みんな震えてますから…」
「その方が威圧すると、参加者全員の思考が停止してしまって、中には会議中、言葉になっていない、嗚咽のような言葉しか発せなくなる人間もいましたよ…」

それはいったいどんなオーラなん?教えてよ、教えてよ。
ということで、その方のオーラについて話合った結果、ワンピースのルフィが帯びる、覇王色の覇気と同じようなものだ。という結論に至る。
なるほど、キッと睨むだけで、人がヤラれるわけね、広範囲にいる人たちまで、ヤラれるわけね、その方も、海賊王を目指してはるわけね。

じゃあ、そのオーラってやつは、どないやって身につけるんかしらん。俺も欲しい、俺も欲しい。

ふと思いつくのは、ヤンキーのオーラ。
若かりし頃、ケンカの強い奴や、悪いことばっかりやってのける不良たちは、小学生だろうが中学生だろうが、一定の覇気を帯びていたと思う。
その覇気があるからこそ、周りも近寄り難かったろうし、他校の連中をも畏怖させる威力があったんだと思う。

なら何かい?ケンカが強い奴だけがそのオーラという奴を身につけられるんかい?そらそうやわな、ルフィもめちゃくちゃケンカ強いもんなぁ。それで納得ということで、ええんかしら?

いや、違う。社会に出てオーラを帯びてる人たちの大半は、そないケンカ自体は強くないはず。ひょろひょろのおじいちゃんでも、オーラのえげつない人は大勢いる。
となると、単にケンカが強くても、そういった人たちの覇気には勝てないことになる。
危ない危ない、ケンカが強くなったらオーラを身につけられると早合点して、拙速に答えを出してしまうところだった。先ほど申し込んだ、エクササイズボクシングジムの入会願書、取り消さねば。

でしたらば、どうやればオーラが?俺も欲しい、俺も欲しいんや。

あっ、そういや、人のオーラっていうのは、その人の生き様が表れるなんて、キザなことを言ってのけていた輩がおったことを思い出す。
生き様?イキザマ?

これ、ようわからん。
オーラが身につくような、生き様なんて、あるの?それって、どんな生き様なん?

自ら茨の道を進んで行くような生き様?
もしそうなら、カップラーメンに湯を入れてから一分半で食べてみたり、チゲ鍋を素手で食べてみたり、カレーうどんを食べるときには、必ず白いシャツを身に着けてみるとか、そういうこと?そういうことで、みんなオーラが身についてるの?なんや、簡単やん、簡単やん。

そう思って、この夏、ざる饂飩食べるときも、素麺食べるときも、汁に浸けずに、そのまま麺をダイレクトに食べるというワイルドなことを試し続けてみたけれども、夏も終わりかけ、森山直太朗が歌い出すこの季節、一向にオーラが身についた気配がない。

オーラがないと、損をすることが多いと思う。
人とモメごとになった際にも、相手は萎縮することなく、グイグイと横柄な態度でこちらに強引な交渉を迫ってきたり、電車の座席で、隣の奴に、思いっきり両足をグイッと広げられて、肩身の狭い思いをせんければならんかったり、映画館では、両サイドのドリンクホルダーを占拠されてしまったり、焼肉を食しているときなどに、焦げ付いた網の交換を店員さんにお願いした後、その店員さんから舌打ちされたり、見積もりを値切られたり、仕入れ値を上乗せされたり、幼少期の頃のエピソードなら、家に友達が遊びに来る度に、部屋の中から、ファミコンソフトがなくなっていったりと、あれもこれも全て、オーラを身に纏っていないことが、全ての原因なのだ。

取りあえず、僕が考える最もワイルドなこと、片道分のお金だけを持って、海外へ飛び立ち、骨を埋める覚悟で、現地で夢を追いかけるという荒行、これをやらんければ、オーラは身につかないんじゃないだろうか。
そう思い、銀行の残高に目をやると、片道分のお金どころか、大阪府外へと脱出する資金もない。

オーラを身につける前に、小銭をもう少し、身につけておかねばならない。

三十何某にもなって、地元の中学生の悪ガキから絡まれるという不測の事態を味わえば、誰だってオーラについて、考えたくもなるし、オーラと向き合いたくもなるし、せめて、身につけた小銭だけは、そいつらに奪われまいと、両手をばたつかせたくもなる。

デタラメだもの。

201140907