たびたび書いてはいるけども、その都度書いてはいるけども、どうしてもその違和感が拭えなくて、どうしてもその部分に引っかかってしまうもんだから、とどのつまりは、どうやったって見過ごせないこと。

近ごろの日本人の、特にビジネスの世界における、英単語を交えた会話。

会議の場などに、のほほんと鼻水なんぞ垂らしながら参加させてもらっていると、喧々諤々と意見を戦わせる猛者たちの姿を、じーっと眺める機会、ございまして。

どうやら見てると、「一見すると仕事が良くできるように見えるタイプ」の人が、英単語を交えがちだという分析結果に辿りついた。

にしても、会話の中での、英単語が混ざる分量が、年々増加していて、話している最中に、心の中でツッコミを入れる回数が尋常じゃないほど増えてしまい、話の内容が頭に入ってこなくなりつつある。

「○○さん、その考えは、バッドですよ」

バッド?BAD?ん?who's bad?お前は、マイケルジャクソンかい!と、なるわけです。

「もっとね、コンセンサスを取った方がベターですよ。早いとこクライアントからイニシアチブを奪い取って、ゼロベースでキックオフしましょう」

ん?コンセンサス?テキサス?イニシアチブ?ん?イチブトゼンブ?ん?B'zの話?ナニナニ?
と、なるわけです。

ここまで英単語を交えて話をされると、もう、その、「決めフレーズには英単語交えまんねん」っていうスタンスが、むず痒くなってしまって、若干、心の中では、「早よ、次の英単語来い来い!」と、期待までしてしまう始末。

「ベストなソリューションをあなたに」

は?何ションをくれんの?ローション?ナニナニ?夜のお店の話?と、なってしまうわけです。

こうなってくると、まるで、その会議での発言者、いわゆる、一見すると仕事ができるように見える人間たちが、ルー大柴のキャラクターとかぶってしまって、尚のこと、真面目に話を聞けなくなる。

そこで万が一、

「それでは、こんなに色んなスキルを持ったスペシャリストが集ってくれたんだから、ゴール目指して、一緒にやりましょう!」

なんてことを言われようもんなら、もしその場にいたなら、その一体感をブチ壊してしてでも、

「そこは、トゥギャザーしようぜ!ちゃうんかい!」

と。

いっそのこと、英単語交える人間として分類わけしてしまい、こいつはルー大柴タイプとか、こいつは長嶋茂雄タイプとか、あいつはジャニー喜多川タイプとか。

「チャンスはつかめるだけつかんだほうがいい。今の自分よりもちょっとだけ背伸びして、足が少し震えるくらいの状態で、新しいことに挑戦すればいい。その背伸びの部分が、君の成長につながる。だから、たくさん挑戦するんだ。いいね。こういう言葉を知ってるかい?失敗は成功のマザーって」

おぉ、こいつは長嶋茂雄タイプやな、とか。
ほんで、こういう言葉を知ってるかいって聞かれても、失敗は成功の母やったら知ってるけれども、失敗は成功のマザーは知らない場合、どないやって答えたらええねんって問題も出てくるよね。

「せっかくクライアントから与えてもらった機会だぞ!今後のお前の成長のためにもなる!それを、今の自分のスキルが伴っていないからって、挑まないつもりか?クライアントの期待を裏切るつもりか?自分の成長を諦めるつもりか?え?失敗したら俺に迷惑がかかるからって?バカなこと言うなよ!なんのために上司がいると思ってんだ?何の仕事もロクにできないダメな上司だけど、責任くらいは取らせてくれよな!だから、俺のことは心配するな!なっ!ユーがキャンと思うならドゥーすればいいじゃない!」

おぉ!こっちは、ジャニー喜多川タイプか、と。

きっとね、日本語の中に英単語を交えると、会話にギャップが生まれて、リズムとかアクセントが付くのは間違いないんだと思う。

んで、そうやって、ここぞって時に、英単語をバチンと言ってのけると、確かに、会話に不協和音が響いて、気はそちらに行くし、意識も耳もそちらに行く。

でも、英単語を使ってる時点で、その人の温度のこもった肉声に聞こえないし、ここぞの時にそれを使うとなるならば、ここぞに中身がなく聞こえてしまいやしないかい?

おい、日本人よ!ここぞって時の決めセリフに、英単語使こてて、どないするんじゃ!と。
じゃあ何かい?

「俺、お前のこと、やっぱり、アイラブユーだわ。お前のこと、強くホールドしていい?ぎゅっと、ホールドしていい?そして、キスしたい」

アイラブユーって、キザにもほどがあるやろうし、ホールドって、プロレスしてるんちゃうんやから。
ほんで、キスって?キス?ん?キスはいいんか。キスは使こていいんか。

なるほど、難しい。

デタラメだもの。

20130713