デタラメだもの

デタラメに生きる。デタラメに暮らす。薄暗い世の中をデタラメに生きるための処世術、バイブル。エッセイです。

2012年12月

すごく細かいけれども、『要は…』に挑んでみる「デタラメだもの」

子どもの頃には、あまり気づかなかったけれども、大人になって気づいたことがある。それは、「要は…」が乱発されているということ。

特に社会ではこの「要は…」が、より一層に濫用され、会話の端々、いや、中心的フレーズとなって耳に入ってくるわけで。

んで、おかしなことに、この「要は…」は、あまり「要は…」の意味になっていないこと多く、「要は…」の役を果たしていないこと多く、そういや自分も、使うまい使うまいと思ってはみるものの、恐らく「要は…」に頼り、会話を進めてしまっていることは、言わずもがな。

社会にはびこる「要は…」にスポットを当ててみると、こんな感じ。

「そのプロジェクトはですねぇ、要は、我が社の実績から数多の信頼を受け、最も得意とする分野でございまして、故に、この分野では、右に出る者のいないほどに、自信を持ってクライアントの皆々様に、安心のサービスをご提供できるわけでございます候」

長い…。

要はですねぇ、「要は…」の後が長すぎるわけです、思うに。
それは、非常にかっこ悪い醜態を晒していると思うわけで。つまり、要はといって話をまとめてやるぜと息巻いて、俺にはこの話をズバリと濃縮させ、濃ゆい濃ゆい、濃縮果汁のような酸っぱさ旨さで、この話をお伝えしますぜ、と言わんばかりの威勢で「要は…」。

が実際には、「要は…」の後に、ダラダラと長く、万が一、その話を拝聴しておられるお方が、相当なスキルの持ち主であった場合、「要は…」の後の話の長さに、こいつは威勢良く飛び出して行ったものの、ノープラン、方向性さえ持っておらずに、会話の迷子。サービスインフォメーションの譲にでも、呼び出しのアナウンスをかけてもらわねば。
「紺色のネクタイに縦ストライプのYシャツをお召しの30代前半の男性の方。会話の結論がお待ちですので、至急、要は…の前に会話をお戻しください」
などと、恥ずかしいアナウンスに誘われ、首の根っこを掴まれ、はい、そこまでよ。

で、この場を借りて、挑んでみようじゃないか、と。
かっこいい男と思われるためには、やっぱり「要は…」の後は短く、端的に、スパッと。

例えばどうだろう。

「要は、バシンッと行きます」

アホやな、これは。要はの後が抽象的なっとるがな。

「要は、100万円で!」

おぉ!これはええじゃないか。具体的に数字に落ちとるじゃないか。でも、何が100万円か分からんぞ、これじゃ。

「要は、機会損失防止システムの導入を100万円で!」

なるほど、より具体的じゃないか。でも、機会損失防止システムというのが長ったらしくて、気にくわんね。

「要は、機損防システムの導入を100万円で!あっ、機損防というのは、機会損失防止という単語を短くするための即席の略語です」

あかん、説明の説明が増えとるがな。これはボツやな。機会損失防止システムを扱っとるからあかんのや。扱うもんを、いっそ変えたらええんやな。

「要は、スープに浮いてるナルトの枚数は3枚です」

おぉ!完璧に近づいている気がするのは、僕だけだろうか。見事にスープに浮いているナルトの数を端的に伝えている。これは行けるんじゃないか。

「要は、スープに入っているチャーシューの枚数は2枚です」

むふふ。ごらんなさい、今や、俺は「要は…」を完璧に使いこなせているではないか。気持ちが高揚してきたので、もうひとつ。

「要は、スープはしょうゆベースでございます」

もう慣れたものだ。「要は…」マスターになっている。が、スープ絡みのものを端的に言う以外に、「要は…」を使えないんじゃないのか。

「要は、機会損失防止システムの導入を100万円で!あっ、ただ、機会損失防止システムは呼び名が長いため、我が社では、機損坊システ…」

だめだ。俺にはやっぱり機会損失防止システムは扱えない。事が大き過ぎて手に負えない。

やはり僕は、「要は…」なんてキザな言葉を使うことなく、のらりくらりと会話を進め、飽きられぬよう、無い知恵と浅いユーモアを使って、しゃべり倒すという方法で突き進んでみようと思う。

要は、身の丈に合った会話を。要は、カッコつけない会話を。要は、を使うなら勝機を感じたタイミングで、さりげなく、スマートに。

ただ、こんなことだったら言えるぜ。

「ごらん、向こう岸に見えるタワーは12時にライトアップが消えるんだ。そうしたら僕は、ポケットから小箱を取り出す。その小箱には、あのタワーのライトアップ以上にキラキラと輝く、リングが入ってるんだ。そうさ。要は、結婚してくれってことさ」

ううん…。イマイチやな。「要は…」には、用は無いみたいだ。

デタラメだもの。

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印象に残る愛すべき営業マンの「デタラメだもの」

先日、飛び込みに近いかたちで、ぼくのような何の影響力もない人間に会いに来たいと、とある営業マンが事務所を訪れました。いや、訪れていただきました。

その営業マンの勤める会社は、Webのとあるサービスを展開していらっしゃるのですが、まぁ、そういったサービスは星の数ほど存在する上に、まぁ難も多く、ぼくといたしましても、そういったサービスを試してみたり、実際に案件に使ってみたりの経験多く、それがどうにも、「こりゃサービス使わずに、自分でゴリゴリやった方が、楽だわなぁ」などという結論に辿りつきまくっているわけで。

ただ、ぼくのような微塵の影響力も、このビジネスの世界において発せないような小物に対して、ぜひ会いたいなどと言ってくださるのですから、そりゃ、頭を下げまくりつつ、ぜひぜひこちらこそお願いします、と言って、会いに来ていただいた次第で。

でまぁ、ビジネスの世界ですから、会えば「こりゃ初めまして、こちら○○と申します」なんて、様式通りの挨拶を行い、名刺なんぞを渡しながら、「いやはや、どもども」なんて恐縮しつつ、席に着いたりしますわなぁ。

で、ぼくは、極度の人見知りなもんで、この名刺を渡すといった儀式の際は、まともに相手の顔を見れず、目を合わせている態で、その実、目を全く合わせないという離れ業を、いつもいつもやるわけでして。

ほんでほんで、着席しますわなぁ。で、改めて、じゃあお願いします、なんて話を始めるわけだけども、結論から言うと、その営業マン、思いっきり、鼻水をタラリと垂らしてたわけですわ。

話を最後まで進めてしまいますと、その日以来、この営業マンの話、二日に一回程度、出ます。それぐらい、印象に残りまくってます。提案いただいたサービスの話は別として。

でですねぇ、何が言いたいのかと言いますと、早い話が、営業マンよ、みんなもっともっと鼻水を垂らせよってことですよ。

その営業マンの方は他にも、やたらめったら自社サービスを卑下してみたり、iPadで資料を見せてくれるのはいいんだけども、やたらめったら、かわいそうなくらいに指がカサカサで荒れてたり、サンプルで出した自社実績の制作サイトに使われてる女性の写真の表情が、笑いを堪えきれないくらいにアホ面してて、笑っちゃいけない商談の場で、涙腺が爆発するくらいに笑いを堪えさせられたりと、なかなか骨のある営業マンでした。

が、これがどうだろう、その方は別として、もしそのような滑稽な雰囲気の中に、チラリとでも、「こいつ、なかなかやるなぁ」というような光るものがあった場合、前述のような滑稽さが、「もしやこいつは、優秀な道化じゃあるまいか?」といった風に、こちらでその方の力量の評価をグイグイイと上げて行かざるを得ないのではないだろうか。

その道化をやってのけて尚、光るものを覗かせる、それ相当にデキル人間なのではなかろうか?と。

当のぼくは、その昔は憑りつかれたようにビジネス本を読み倒し、いろんなメソッドやいろんな思考法などを試したり齧ったり、なんやかんやしましたが、全部やめました。

いろんな理由があって、一切やめたのですが、理由を挙げ続ければ、ひどく真面目な話になってしまい、何の面白みもないので、割愛。

結局は、ぼく自身が、いろんな文化や芸術に触れ、感情・感性というものが豊かな人のほうが、断然に好きでして、ビジネス本など読みまくっていても、そういった感情や感性など、たいして豊かにならねぇなぁと感じてしまい、そうなると、そういった類の本、まるで電化製品の取扱説明書のように思われ、見向きもしなくなってしまったわけです。

で、もう一度言いますと、営業マンよ、もっと鼻水垂らせよ!と。

ぼくの尊敬する、三代目魚武濱田成夫さんの詩に『印象』というものがあり、
印象

印象づけるために
俺はグラスの水なんて
今までに100回くらい
わざとこぼしてる

という、まさにこの方、一度会えば二度と忘れられない印象をお持ちで、ポエトリーリーディングのライブに行くといつも、ド肝を抜かれるくらいに感動させられまくってます。

そうなんです。だから、鼻水を垂らせば、商談した相手から、二日に一回は話題にされます。商談した相手が話芸に長けているお人ならば、おもしろおかしく、事務所内や飲み屋、いたるところで、あなたの鼻水について、逸話をひとり歩きさせてくれることでしょう。

ぜひ、おすすめですね、鼻水。

そんなぼくは、以前、長きに渡った契約が、本日破棄されるのではといった緊迫した商談の日、得意先に向かう途中で、スーツのズボンのチャックのジッバーが千切れてしまい、ジッパーが千切れてしまったもんは既にチャックでも何でもねぇやといった具合に豪快にパックリ開いたまま、超が付くほど緊迫した会議に、股間の通気性抜群の状態、チャックだけに、締りの無い状態で挑み、見事に契約が破棄されたという、苦い思い出がございます。

くれぐれもひと言。

契約破棄の時に、印象に残しても、基本的には、手遅れです。

デタラメだもの。

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